映画『彼らの原発』のご紹介
10月20日よりK’s cinemaで公開中の映画『彼らの原発』。私は上映直前のトークライブにお呼びいただき、ひと足お先に拝見しました。
東日本大震災以降、この7年の間、原発のことがニュースにのぼらない日はなくなりました。福島原発の事故により、多くの人がその危険性を認知し、原発反対、脱原発を訴える世論の声が増しました。
でも、1960年代に国内で初めて原子力による発電が行われてからの半世紀、全国に建設されてきた原子力発電所や使用済み核燃料の再処理工場がある町に暮らす人たちの状況や思いを、わたしたちはどれだけ知ってきたのだろう、と思います。
『彼らの原発』は、震災後に初めて再稼働された大飯原子力発電所があるおおい町の人々を映し出します。再稼働で全国の注目を集め、掌を返したように大きな批判が向けられました。
原発問題に限ったことではありませんが、賛成か反対か、という二項対立の意見で捉えがちですが、いざ我が地元に白羽の矢が立てば、そこに様々な要素が絡み、力関係が左右し、さらには多額の資金が投入され、歪みや捻れが生じていきます。住民たちの誰しもが、自分個人の思いと、町の方針との間で、埋まらない溝を抱えながら、それでも故郷のこの町で生きている、という姿が垣間見えます。本編では、おおい町に暮らす様々な人の言葉を拾っていますが、そこに自分の批判を被せるのではなく、その人の言葉を肯定して聞こうとする川口勉監督の意志を感じました。中でも印象的だったのは、既に原発があった町に生まれてきた若者たちの声でした。
敦賀市議の今大地さんが「原発によって、地元住民は自由にものを語ることができなくなった」とおっしゃられていたことを思い出します。問いかけることがなければ、決して聞くことができなかった言葉が、この映画を通して語られています。K’s cinemaで11月2日までの上映です。ぜひ足をお運びください!
映画『彼らの原発』
10月20日(土)〜11月2日(金)まで
K’s cinema
連日10:00〜