美炎_竹小舞

『里守人と馬頭琴』映像制作プロジェクトのFacebookページを立ち上げました!

2019年に立ち上げた『里守人と馬頭琴』映像制作プロジェクトのFacebookページを立ち上げました!
合わせて、こちらのHPでも、どうしてこのプロジェクトを立ち上げたのか、年に一度開催されてきた棚田コンサートとはどのようなものなのか、これまでどんな撮影をしてきたのかなどを振り返りながら、進捗状況も随時ご報告していきたいと思います。
まずは、はじまりのはじまり、馬頭琴奏者の美炎さんとの出会いまで遡ってみました。
【このプロジェクトを立ち上げるまでのこと ①】
ー竹小舞を掻く美炎さんと出会うー
2017年9月、私と石井和彦は、山梨県北杜市武川町にある古民家を訪ねました。築100年を悠に超えるその家は、無人の状態が10年近く続き、かなり傷んでいたと言います。NPO法人アースマンシップは、この場所を活動の拠点とするため、できるだけ昔ながらの工法と身近にある素材を生かしながら家を生き返らせようと、2016年から「柳澤たてもの塾」をスタートしました。建築家の日高保さんと、個性溢れる職人さんたちの指導のもと、有志の結作業で、2年がかりで工程を進めていました。
この時は、竹小舞と土塗りが行われました。剥がれ落ちたり、不要になった壁を撤去し、土壁で新たに作り替えます。主要な資材は、冬、新月に合わせて近所の竹林で伐り出し、割いておいたマダケ(真竹)です。その竹を格子状に編み込み、シュロ縄で結ぶ作業を「竹小舞を掻く」と言うそうです。
家の前では、壁を塗るための土の準備です。地元の粘土に切藁と水を加え、よく足で踏んで混ぜ合わせたものを数ヵ月の間寝かせておきます。さらに塗る直前に切藁を加えて粘りが出るまで交代交代で足で踏み込んでいきます。竹小舞を掻いた後に、この土を塗ります。
私と石井は、この結作業を撮影しに来たのでした。(もっぱら、私はウズウズが止められず、作業に加わってしまい、撮影は石井に任せっきりでした。)
参加者は20名ほどだったでしょうか。みなさん、とても楽しみながら、でも真剣に作業しています。そしてその中に、馬頭琴奏者の美炎さんがいたのでした。
なぜ美炎さんがここに参加していたのか、なぜ私たちが撮影しに来たのかといえば、この塾を主宰していたアースマンシップ、岡田淳さん、直子さんご夫妻とのご縁からでした。
岡田淳さんは、私の母校自由学園の先輩です。淳さんは、自由学園卒業後、アメリカの大学で環境学、そしてアメリカ先住民の大地に生きる知恵やサバイバル技術、そのスピリットを学び、日本でもその学びの場をと、アースマンシップを立ち上げました。私は20代の頃から、プログラムに参加したり、お手伝いをさせていただいてきました。人もこの地球という全体性のなかの一部、と捉える自然観に多くのことを学び、生きる指針を得てきました。そのアースマンシップが、山梨の武川に新しい拠点を作っていると聞き、ぜひその様子を映像で記録したいと、訪れたのでした。
そして美炎さんはといえば、岡田さんとは息子さん同士が同じ高校に通っていたというママ友つながりで、この場に参加していたのでした。
美炎さんが馬頭琴奏者であることは知っていましたが、事も無げに竹を素手で扱い、竹小舞を掻いています。キビキビと小気味よく動く指を、おもわずじーっと見入ってしまったことを今でも覚えています。この作業は、けっこう指の力を使います。美炎さんの作業を見ていた左官職人さんから「さすが筋がいい!」の声が上がっていました。美炎さんの指にはタコができていて、馬頭琴は弦の押さえ方が特殊で、こんなところにタコができるのだと説明してもらったのですが、指使いをいくら聞いても、よくわかりませんでした。
その夜、参加者みんなで食卓を囲んでいた時に、淳さんがかけてくれたのは、美炎さんのCDでした。馬頭琴の音色は、前へ前へ主張するわけでもなく、でもBGMとして埋没してしまう音でもなく、絶妙に張りのあるとても懐かしい響きで、作業を終えた身体に心地よく沁み渡りました。
その時です。岡田直子さんから勧められたのは。「美炎ちゃんの馬頭琴を聞くなら、栃木の棚田コンサートが絶対おすすめ!一度はみんなに行ってほしい!」と。今まで直子さんに勧めていただいて、外れたものはありません。これは絶対に行かなくては!
そして東京に戻って、まずしたことが、その翌月10月15日に予定されていた第7回棚田コンサート「美炎・馬頭琴の調べ」のチケットを予約することだったのでした。
(記:纐纈あや)
動画はこちら →    https://youtu.be/hRIPzzWumco
アースマンシップ https://www.earthmanship.com/
きらくなたてものや http://www.kirakunat.com/
馬頭琴奏者 美炎 https://miho-batokin.com/
美炎・馬頭琴の調べ https://satomoribito.wixsite.com/miho