様々な映画を観られる場を作っていくということ
私は映画を作ることだけでなく、映画を観てもらう場を作っていくことにも、とても興味がある。それは、映画の世界に携わるようになったはじまりが、配給の仕事だったことに関係していると思う。
本橋成一監督の『アレクセイと泉』は2002年に劇場公開し、その後は自主上映会への貸出しをした。私は丸2年半、自主上映会の受付業務にかかりっきりになった。当時は16ミリフィルムと35ミリフィルムの貸出しだったので、貸出し料金は今の相場よりもかなり高かった。観客の入場料金でそれを賄おうとすると、200人以上の集客規模が基本だった。主催者はある程度の会場を押さえなければいけなく、さらには映写機、映写技師も手配しなければならない。自主上映会をするということは、今以上に赤字のリスクを伴うものだった。利益をあげることを目的に上映しようとする人などは皆無で、みなさん映画に心底感動し、この映画を自分の周りの人にとにかく観てもらいたい!という思いひとつで、申し込んできてくださるのだった。
毎日、全国各地で上映会を希望する人々から問合せが入った。当時はメールではなく電話。一人の主催者と何度も何度も電話で話した。人が集まらないと困っていれば、どうしたらいいかを一緒に考え、はじめから上映料金を値切ろうとする人には、映画がどれだけの労力をかけて作られているのかを懇々と説明した。色々な思いを共有しながら、一緒に上映会を作り上げていく過程の中で、一度も会ったことはなくても友人のように思える存在になった人がたくさんいた。ここまで人を動かし、つないでいく映画のパワーってすごい!と実感する日々だった。何年も経って、自分で映画を作ることになった時、この上映会でお世話になった方々が応援してくださったことは本当に嬉しかった。
心が震えるような映画に出会うと、周りの人に「この映画観てー!!」とおっきな声で言いたくなる。自分が良いと思う作品を多くの人に観てもらいたいという思いと、もうひとつは、見ず知らずの人たちが、同じ暗闇の空間の中に集まり、ある一定の時間、ひとつの体験を共有していくという最高にぜいたくで豊かな「映画を観る」という行為そのものをみんなで楽しみたい、という思いがある。そんなことから、様々な映画を観られる場を身近な所に作っていきたい、と思っている。
4月14日(日)はちょっと大きな(映画祭としては小さいけれど)上映会をします!どの作品も、作り手の執念ともいえる情熱やパワーが漲っています。制作過程やスタイルも監督の個性が溢れていて、これは応援したい!小金井で観てもらいたい!と思う作品が集まりました。当日は、3人の監督、我妻和樹さん、大西暢夫さん、塚本晋也さんが会場に駆けつけてくださる予定です。魅力ある監督たちの思いに、ぜひ直接触れていただきたいなと思っています。
ラインナップは、はっきり言ってどれも気楽に観られる映画ではありませんっ!1日4本を観るのは、時間的にも精神的にも大変かもしれない。でも、ぜひ気になる作品おひとつでも、この機会に出会っていただければと思っています。ご参加、お待ちしております!
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ワンズ・アイズ映画祭 VOL.1 ともに生きぬく
FB → https://www.facebook.com/events/637197273381694/
日時:2019年4月14日(日)
会場:小金井市 宮地楽器ホール 小ホール(JR武蔵小金井駅南口駅前)
10:00~『被ばく牛と生きる』(監督:松原保/104分/2017年)
12:50~『願いと揺らぎ』(監督:我妻和樹/147分/2017年)
★上映終了後、監督トークあり
16:20~『家族の軌跡 〜3.11の記憶から〜』(監督:大西暢夫/90分/2016年)
★上映終了後、監督トークあり
19:00~『KOTOKO』(監督:塚本晋也/91分/2011年))
★上映終了後、監督トークあり
<チケット>
前売り:1回券 1,200円 フリーパス券 3,500円
当 日:1回券 1,400円 フリーパス券 3,800円
高校生以下:(当日のみ)500円
<チケットの購入・予約について>
●チケット購入
小金井市宮地楽器ホール事務所にて販売中。
東京都小金井市本町6-14-45 TEL:042-380-8077
開館時間 9:00~22:00
●チケット予約
下記のサイトの申込フォームから必要事項を入力し送信ください。
https://kokucheese.com/event/index/560977/