dekoboko

遅ればせながら、でございますが…

ええっと…
遅ればせながら、でございますが、
わたくし5月に結婚いたしました!

石井和彦さんと小金井の新居に暮らし始めて3ヶ月が経ちますが、今でも、朝起きて、ご飯を食べながら、街を歩きながら、自転車をこぎながら、ふと隣にいる彼の姿を見て、これは夢なんじゃないか、と不思議な気持ちになることがあります。
人生こんなことがあるんだな…と。

彼は写真専門学校を卒業後、本橋成一さんのもとでしばらく働いていたので、わたしがポレポレタイムス社で働いていた20代の頃からの知合いでした。昨年の 暮れに、それぞれ偶然同じ場所に通っていた福島県東和地区で再会し、そちらの農家さんたちが祝島にツアーでいらっしゃった時に彼も一緒に来て、付き合いが 始まりました。その1ヶ月半後、ふたりで共に人生を歩んでいこうと決めてからは、自分でも怖くなるくらいのスピードで色々なことが展開していきました。完 全に自分の力でコントロールできる範疇を越え、バンザイしてジェットコースターに乗っているような日々でした。1日1日がまるで1年のように感じられ、こ の半年で10年分くらいの時間が流れたように思います。自分の内側でも、全身の細胞が組み変わるような、天と地がひっくり返るほどの大転換が起きていたよ うな気がします。

なんの迷いもなく決めた結婚でしたが、ふたりの暮らしが始まってからは、些細なことで大ゲンカを繰り返しました。成田離婚というやつはこういうことなの か…、夫婦というのはこういうものなのか…、と最初は動揺してばかりでした。おかしいのは、ケンカの原因が大概、食べること、台所仕事についてなのです。 (彼はお料理も家事も上手で、台所に一緒に立ってます。)わたしは自分で言うのもなんですが、どちらかといえば、許容範囲の広いおおらかな人間だと思って いたのに、彼と一緒にいると、意固地で独善的な自分が全開になってしまう。彼は、わたしの決めつけるような言葉や、ねばならない的な発言、相手の自由を奪 うような言動には徹底して応戦してくる。容赦ない。一昨日は、ナスの食べ方で言い合いになり、お互いの違いに絶望すら感じるまでに発展しました。今思い返 したら、ほんと笑っちゃうようなことなのですが、その時は、お互い自分の思いや考えを理解してもらおうと必死です。なぜ、なぜ?どうしてわからないの? と。お互い大好きで、一緒に生きていこうと覚悟を決めた仲でも、ナスひとつでこうなんだから、全く違う人格を持った人と人が理解し合う、共に生きる、とい うことはなんと大変なことだろうとあらためて思います。

彼と一緒に暮らし始めてから、わたしはいつの間にか、生きることにだいぶ怠けていたことに気づかされました。身体も頭も心も、できるだけ省エネを決め込ん で、それが賢く生きることだと、どこかで勘違いしていたように思います。この世の中で起きている現象を、人の言葉を、そこに流れている空気を、ちゃんと見 ていたのか、聴いていたのか、感じていたのか。物事を自分の都合のいいように単純化して、自分の見たいと思う世界ばかりを見てきたのではないか、今はそん なことを考え続けています。

わたしも彼も、大きな流れには乗っかれずに、周縁をウロウロしながら、自分らしく生きることを模索してきた人生で、ふたりになっても、安定とはほど遠い共 同生活になることは容易に想像できますが、この人生の大海を、手作りのイカダでえっちらこっちらふたりで漕ぎながら、助け合いながら旅していきたいと思っ ています。

彼は写真、わたしは映像に携わる者ですが、ふたりともセルフポートレートなんて撮ったことがない。報告用の写真をと、今まで何度トライしたことか。(それ で3ヶ月が過ぎてしまったとも言えます。)その度にわたしは、彼の表情が硬い、わたしが惚れた笑顔の写真をと、ダメ出しを繰り返し、そのうち、じゃあ動画 にしてみるかとなり、でも動画になると時間を持て余してしまい、わたしが人生で一度でいいからしてもらいたいと言っていたお姫様抱っこをしてくれて、でも それだけではなんだか終わらせられず、よせばいいのにスクワットをし、それに味をしめたわたしは、監督気取りでさらにダメ出しを繰り返し、彼は現場仕事で 痛めていた膝をさらに悪化させてしまった、というオチでございます。

ということで、50男と40女のバカップル、恥も外聞も無いお目汚しの映像ですみませーーん!米俵1俵(よりはちょっと軽いヨ。)を持ち上げスクワットできる力持ちの自慢の夫です。

式も指輪も旅行もしばらく予定がありませんで、これをひとまずはご報告に代えせていただきます。いつも気にかけ、見守ってきてくださったみなさま、この半年、ご報告もできず、すっかり不義理してしまいましたこと、どうぞお許し下さい。

まずは結婚3ヶ月、第一次離婚危機を脱しましたことを(笑)ここに晴れてご報告させていただきます。

(金兵直幸作「凹凸(デコ•ボコ)」と梶野公園にて)