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映画『絵の中のぼくの村』上映会、盛況でした!

都立多摩図書館の16ミリフィルムを掘り起こそう!上映会(勝手にひとりでネーミングしています)。小さな規模でしたが、この作品を観るために市外から来てくださった方もいらっしゃって(ありがとうございました!)盛況でした。
今回は、個人的にずっと見たいと思っていた東陽一監督の映画「絵の中のぼくの村」をリクエスト。
カタカタ、カタカタ。フィルムが廻る音を聞くと、どうしてあんなにドキドキ、ワクワクするんでしょう。小さい頃の映画の記憶が思い出されるからでしょうか。フィルムならではの傷さえも、なんだか嬉しく見ている自分がいました。(観るのに夢中で、誰も写真を撮っていなかった…。)

映画は、昭和20年代の高知県の小さな村で暮らす双子の兄弟を巡るお話しです。緑深き自然の中で、少年たちのみずみずしい感受性や、大阪から移り住んだよそ者ゆえの、友だちや大人たちの人間模様が鮮やかに描き出されます。双子ならではの面白さ、かわいらしさも魅力ですが、やはり私は、美しく凛として、知性を持ち合わせている教師の母親(原田美枝子)が、センジという貧しく風来坊の少年を家にあげちゃいかん、と追い返したシーンがとにかく衝撃でした。今でも胸が苦しい。

上映後に、お茶を飲みながら、みなさんと映画について色々と話しました。自分では気がつかなかったこと、わからなかったことなども色々と出て来て、それがまた映画の後味を深めてくれました。

家に戻り、映画の原作となった田島征三さんの「絵の中のぼくの村」(くもん出版)を読みました。この本がまた素晴らしいのです。川底にキラッと光る小石のような言葉の数々。以下に一文をご紹介して。

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あの村で過ごした数年間は、五十歳を過ぎてしまっているぼくにとって抱きしめたいほど大切な、いとおしい思い出のつまった日々なのだ。もし、ぼくが一本の木であるとしたら、その根は芳原の山や野や小沢に延び拡がり、ぼくの心の奥にあるあの村から栄養のある水を吸いあげてその力で枝や葉を茂らせているように思われるのだ。〜

「絵の中のぼくの村」(田島征三著・くもん出版)より