「ワンズ・アイズ映画祭 VOL.1ともに生きぬく」ご報告
「ワンズ・アイズ映画祭 VOL.1ともに生きぬく」が盛況のうちに、無事終了いたしました。ご来場いただきましたみなさま、そして映画祭の宣伝にご協力いただきましたみなさま、本当にありがとうございました!!
予約開始の13ヶ月前から、ほぼ週末は埋まってしまう宮地楽器ホールが、なぜか4月14日だけ空いているとわかったのが、もうすぐ2月になるという頃。いつかは映画祭のようなものができたらいいね、とは話していましたが、会場が取れてしまったことで、押し出されるように映画祭を実行することになりました。急ぎ上映作品を決め、それぞれの監督にトークのお願いをしたところ、みなさん一つ返事で引き受けてくださいました。そして本格的に宣伝を始められたのが1ヶ月前の3月11日でした。
友人、知人に案内するたびに、行きたいのだが14日は選挙応援がある、他のイベントがある、予定が入っているとの返事が続き焦りました。どうしようと思うたび、これまで自分の映画を上映してきてくださった主催者の方々の顔が浮かび、みなさんもこういう思いをしながら人を集めてくださったんだと自分を奮い立たせ、のらりくらりとしか使ってこなかったFBに、映画祭や上映する作品への思いの丈を必死に綴りました。チラシはみんなで手分けして、ほとんどは郵送ではなくて人が集まるスペースやイベントへ持参し、市民掲示板にチラシを貼って廻りました。でもこれらひとつひとつが、とても楽しかったです。
前日まで逃げ出したいような気持ちでいましたが、4作品ともに、目標人数以上の方にご来場いただくことができました。それぞれの作品の力、そして監督のこれまでの積み重ねがあったからこその集客だったと思います。
今回は、テーマ的に1回券の人が多いだろうと思っていましたが、意外にもフリーパスで3作以上をを見てくださる方が多くいました。決して気楽に観られるものではなかったと思いますが、それを観よう、受け止めようという方々がこれだけいるんだということに感動でした。1日映画漬け、という映画祭ならではの時間の中で、新たな発見や楽しみを見出していただけたようだったらとても嬉しいです。
1本目の『被ばく牛と生きる』の松原保監督は、心のこもった長文のメッセージを送ってくださり、会場で紹介させていただきました。そして2本目以降は、上映後に監督のお話しを30分ほど伺いました。
それぞれの監督が、目の前にある人の痛みに、自分は一体何ができるのか。映像として何を返せるのか。もがきながら、あがきながら、何度でもその痛みに向かっていく。関わろうとする。その在り方に、共通するものを感じました。
我妻和樹監督は「自分も現地で被災し、その時から自分の中の時間が完全に止まってしまった数年がとても辛かった」。大西暢夫監督は「震災後の東北の惨状を見た後、地元(岐阜県)に帰ったら、みんないつもと変わらぬ生活をしていることに腹が立って腹が立ってしょうがなかった」。そして塚本晋也監督は、「KOTOKOを作っている時の精神状態は普通ではなく、完成した後も普段の自分に戻るのにだいぶ時間がかかりました」と話してくださいました。みなさん穏やかで、やわらかい物腰ですが、人と関わることの苦しさ、それを形にすることの困難さから決して逃げないという覚悟を感じました。
上映後の打上げには3人の監督も参加してくださり、ぜいたくな時間を過ごしながら、あらためて今回はなんと貴重な機会だったのだろうと思いました。同時に、もっともっと映画を観に来てくださった方と監督との交流の場をつくる工夫ができたらよかったなとも思いました。
我妻さんは終電を逃し、大西さんとやしほ映画社の事務所にお泊まりいただくことになり、夜更けまで映像談義となりました。お二人は、この日始めから最後まで、映画祭に参加してくださいました。その姿に感じるものがたくさんありました。私もこうでありたい、と思うことがたくさんありました。
はじめての映画祭は、準備期間も詰めも甘くてドタバタでしたが、なんとかみなさまのご協力のおかげで開催することができました。本当にありがとうございました。今回のことをぜひ次につなげて、また小金井で素敵な映画を観られる場を作っていきたいと思います。次の機会に、またお待ちしております!