oonishi-

わたしの大きな兄ちゃん

その人は、わたしが幼稚園児だった頃の大学生のお兄ちゃん、小学生だった頃の社会人のお兄さん、そんな存在だった。

ポレポレタイムス社に入社した頃、大西暢夫さんはすでにポレポレを出て、フリーの写真家として活躍していた。でも時間ができると、バイクに自分の畑で作っ た野菜をたくさん積んできて、ちゃっちゃ、ちゃっちゃと手際よく料理してお昼ご飯を作ってくれた。そのおいしいご飯をみんなでいただきながら、徳山村のパ ワフルでお茶目なばあちゃん、じいちゃんの話し、てんこ盛りの五合飯に驚いたことや手間がかかるぼた餅の作り方など、いたずらっこそうなくりっとした目を 輝かせながら、語ってくれるのだった。想像力をかき立てられるその話しに、私は、まるで子どもが絵本の読み聞かせをしてもらっているように、ワクワクした ことをよく憶えている。

あれから15年。今回、岐阜大学の上映会に合わせて、大西さんの地元池田町のブルースカフェでも上映会をしていただいた。大西さんのお友達もたくさん集まってくださった。

大西さんは、奥さんと娘さん、そして2匹の猫と一緒に、築100年の古民家に住んでいた。囲炉裏を囲みながら、あの頃のように色々な話しをしてくれた。震 災後から通い続けている東北のこと、徳山村のばあちゃんが亡くなった後も、その足跡を辿る旅をしていること、などなど。話しを聞きながら、昔のようにワクワクした気持ちだけでなく、私自身もものを伝えるという端っこに立つようになったからこそわかる、大西さんの強さに圧倒された。
自分には伝えたいことがある。だから写真でも、文章でも、映像でも、とにかく形にするんだ、という気迫。それは、たくさんの人の思いを背負っている者の迫力だった。大西さんの体温は、きっと2度ほど人より熱い。「ね、だからあやちゃんもさ…」と背中を押してもらったようで、力が湧いた。

兄ちゃんは、これからも私のはるか先を力強く、でもさりげなく、そして軽やかに歩いていくんだ!

東京小平市たかの台の松明堂ギャラリーにて、大西さんの写真展と映画上映があります。ぜひぜひ足をお運びください。そして、小金井にもぜひ大西兄をいつかお呼びしたい、と思っております!

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大西暢夫写真展+映画上映「家族の軌跡 3.11の記憶から」
<写真展>
会期:2015年7月6日(月)〜7月12日(日)(11:00~19:00)
会場:松明堂ギャラリー(期間限定オープン)
住所:東京都小平市たかの台44-9B1F(西武国分寺線 鷹の台駅を出てすぐ左、書店の地下1階)
入場料:無料

※11日16:00以降、12日12:00−15:00は、映画上映のためご入場いただけません。

<映画上映会と大西暢夫ギャラリートーク>
7月11日[土]17:00−19:00(開場:16:45 申込み順にご案内します。)
7月12日[日]13:00−15:00(開場:12:45 申込み順にご案内します。)
入場料:1,500円(大人)1,000円(高校生・中学生)
予約制〈申込先着順〉
ブックレット『東北沿岸600キロ 震災報告』『3.11の証言』付

http://kodairar.com/